池澤夏樹
このところずっと、池澤夏樹の文章ばかり読んでいる。
書評や評論やエッセイの類なら、けっこう読んではいた。しかし小説となると
そうかもう10年以上前の作品か。とにかく発売間もないころにこの作品を読んで大感動した。「全道民必読の書!」と周囲に薦めまくった。
ただあまりにこの作品が良すぎて、他のテーマの小説を読んでみようか、と手を伸ばすのを躊躇ってしまった。馬鹿なオレ。
この夏、池澤夏樹にはまったきっかけは
分厚い本と熱い本 毎日新聞「今週の本棚」20年名作選(2005~2011)
- 作者: 丸谷才一,池澤夏樹
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2012/11/20
- メディア: 単行本
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たまたまこれを借りて、ザーッと流し読みをして、池澤夏樹の小説評がとても行き届いている感じがして、そういえばこの人の小説をまともに読んでいなかったことを思い出した。
で、けっこう前から気にはかかっていて、いつかは読もうと思いながら背表紙を眺めていた
これを読んだ。いやー、よかった。すごくよかった。もうこのまま、永遠にこの人の書く文章を読んでいたい、と思うくらいよかった。
最後にちょびっとだけ、私が住む町が舞台のなるのもなんだかうれしい。たしかに、あれこれ食べ物を注文できる地ビール屋が、レンタカーの会社のそばにあるわな。
北海道出身の人だから大まかな土地勘はあるだろうし、ちょいとネットで調べれば小説に書くだけの材料はそろえられるだろうけど・・・なんとなく、実際にちゃんと取材しているような気がする。身軽な人だから。
で、小説ばかりだと疲れるので(なんせ歳だから)、寝る前とかに気楽に読めそうなエッセイとかも借りてきて読んでいる。
とか
とか。
そして
これ。文庫は発売当時買っていて、気楽な旅行記だと思ったらけっこう重い考察集で、なんか疲れて途中で読むのを止めてしまった。馬鹿なオレ。
池澤夏樹の文章を読むのだ、と思って読んでみたら、「ハワイイ紀行」もこれまたものすごく刺激的で楽しかった。
そして。現在はこれを読んでいる。
いやー、正直言ってつらい。読みながら泣いている。ちょっとした1行で涙が流れる。
「キノコのことも忘れないよ。あの子もきみに会っただけであんなに喜ぶんだから。お父さんに会えばもっと喜ぶ。また一緒に暮らすのも喜ぶと思う。」
こんな何気ないアユミのせりふだけで泣いてしまう。読み終わるまでどれだけ涙を流すんだろう。
まだまだ読んでいない本がたくさんある。冬になるまでの間、楽しい思いができそうだ。
えーとたまたまてにとった
これも寝る前に読んでいる。この人のお馬鹿な文章芸は堂に入っていて、一種の凄みがある。笑えるけど。池澤夏樹より5歳年下。